お店のコンセプトを教えてください。
-

-
おいしいという感覚は、味覚だけで完成するものではないと思っています。ラテアートを目で楽しんだり、カップを手に持ったときの質感を感じたり、BGMが耳に心地よかったり。五感がすべて満たされて初めて「おいしい」と感じられる。そしてその先に、心が満たされる感覚がある。その六つ目の感覚まで届けたいという思いから、「rokkan」という名前をつけました。首里という土地を選んだのも、このコンセプトと切り離せません。首里はかつて琉球王国の首都が置かれた沖縄の中心地。その地から沖縄のコーヒーカルチャーをしっかりと発信したいという想いがあり、この場所に店を構えることにこだわりました。
店内のしつらえにもこだわりを感じます。
当店のもうひとつのコンセプトが「琉球への帰還」です。忘れられた文化や芸能をコーヒーとアートで取り戻すという想いを込めています。エスプレッソマシンに描かれた龍の絵は、紅型作家・知花幸修(ちばな ゆきなが)さんの作品。当時の大国・唐では、5本指の龍は王の象徴でしたが、唐と深い交流を持った琉球王国は特別にその使用を許されていました。それでも唐への敬意から自ら4本指にしたという逸話があり、首里城の龍もすべて4本指。そこに琉球の精神を重ね、マシンに4本指の龍を描いてもらいました。
また店内は、沖縄芸術大学出身の自分が図面を引き、木工を手がける後輩が施工し、美術を専攻した作家仲間たちの作品を並べています。空間だけでなく、コーヒーを受ける器にいたるまで作家ものを中心に揃えました。店全体が、沖縄のアートシーンとのつながりで成り立っています。
朝6時という早朝からお店を開けているのも印象的です。
-
3人の子育てをしながら働く中で、自分のための時間は朝しかないと感じるようになったことがきっかけです。パソコンを開いて仕事を整理し、一杯のコーヒーで頭を切り替える。そんな時間を過ごせる場所が首里にほしかったことが、6時オープンのきっかけです。でも、朝の時間を大切にしたいという気持ちは、もともとみなさんの中にもあったんだと思います。ただ、それを過ごせる場所がなかっただけで。今では仕事前に立ち寄る方や、朝のランニングの折り返し地点として使ってくださる方も増えてきました。潜在していたものを可視化できる場所をつくれた、という感覚があります。

おすすめのドリンクを教えてください。
-

-
一番のおすすめはエスプレッソです。当店は浅炒りから深炒りまで複数のコーヒー豆をエスプレッソで提供していて、特に浅炒りの沖縄県産豆は、濃厚なフルーツジュースのような風味に仕上がります。
このエスプレッソに合わせるのが、特製の粉黒糖。沖縄県にある8つの島の製糖所で作られる黒糖をブレンドしエスプレッソに溶けやすいよう細かくパウダー化したもので、エスプレッソとの相性は格別です。島ごとに甘さや香りの異なる黒糖をブレンドして味の軸を一定に保つよう工夫しています。
スイーツのおすすめも教えてください。
-
季節のフルーツやクランブル、クリームを重ねたグラスデザート「季節のヴェリーヌ」が人気です。食べ進めるごとに素材の表情が変わり、飽きのこない味わいに仕上げています。ロールケーキやバスクチーズケーキなど、ほかのスイーツも充実しています。
ぜひこれらのスイーツと合わせて楽しんでほしいのが、バリスタとパティシエがタッグを組み作り上げた「紅芋ラテ」です。沖縄らしいドリンクをという思いから生まれた一杯で、コーヒー豆を漬け込んだミルクと、ムース状に仕立てた紅芋ピューレが2層になっています。ほんのりコーヒーが香るミルクと、まったりとした紅芋の甘さを層ごとに楽しめます。 
エスプレッソマシンにLa Marzocco Stradaを選ばれた理由は?
実現したいことを考えると、Strada EP(※)しかありませんでした。当店はグラインダーを8台使い分けていて、コーヒー豆ごとに最適な抽出圧力が異なります。バリスタが意図して気圧をコントロールできるプロファイリング機能は、当店にとって必須の条件でした。また、複数のバリスタが働く環境では再現性も重要です。プロファイルエディターで人間が作ったレシピをデータ化・均一化してマシンに取り込み、最後の仕上げはバリスタが整える。焙煎への向き合い方と同じアプローチです。マシンの高さが低くカウンター越しにお客さまと視線が合いやすい点も、当店のスタイルによく合っています。
※現在の後継モデルはStrada Xとなり、Strada Xでは、従来の手動による圧力プロファイル操作に加え、自動制御による抽出プロファイルやレシピ管理機能が導入され、より高い味覚再現性と操作性が実現されています。
Mahlkonig EK43を選ばれた理由を教えてください。
-

-
これも、EKしかなかったというのが正直なところです。フレンチプレスからエスプレッソまで幅広く対応でき、なおかつ細かい調整が効くグラインダーはEK43以外にありませんでした。出力1300Wのハイパワーで、COE品評会(※)で90点を超えるトップオブトップロットの浅炒り豆でも難なくこなせます。物販でコーヒー豆をその場で挽く際にも欠かせない存在で、0点調整を基準に粒度をコントロールすることで3店舗どこで挽いても均一な仕上がりになります。粒度分布にばらつきが出てきたタイミングで刃を交換する管理を続けることで、常に安定したクオリティを維持しています。
※カップオブエクセレンス(COE):コーヒーの国際的な品評組織であり、その年に収穫されたコーヒーのうち最高品質のものに与えられる称号のこと。カップオブエクセレンスに選ばれたコーヒー豆はインターネットオークションにかけられ、世界中のコーヒー業者が入札。オークションで決まった落札金額はすべて生産者に還元される仕組みになっている。
今後の目標をお聞かせください。
-
世界征服です(笑)。海外のコーヒーラバーが「アジアでコーヒーを飲むなら沖縄」と迷わず言える場所にしていきたい。沖縄はコーヒー豆の栽培から焙煎・提供まで一貫して行える、日本で唯一の地域です。農家からは収穫時期ごとの水分値や糖度をフィードバックしてもらい、焙煎の結果をまた農家に返して発酵プロセスを磨いていく。この循環は、農園と焙煎所が近い沖縄だからこそできることで、バリスタも農園研修で実際に土を踏むことで、言葉に説得力が生まれます。忘れられた琉球の文化をコーヒーとアートで取り戻しながら、「沖縄といえばコーヒー」という認識を世界に広めていく。それが僕の世界征服です。







